#4:Twitterは、意識して「緩さ」を狙っている?
林:時間軸を最初に提唱したのがブログ。TLの構造は後のメディアにも引き継がれた。その次に出てきたのが、親密軸。SNSが親密軸を取り入れたと思う。親密軸は、見ず知らずの人の事件と、友だちの事件なら、友だちの方が関心がある。全然知らない人が食べたランチに興味はないが、友だちが食べていたら、「今日もそれ食べているの?」と関心を持つ。それが親密軸。SNSは、友だちの日記だけを可視化。より見やすく。
親密軸の近い人たちの情報だけを、ブログと同じように見せるようにしたのが、SNS。写真共有サービスのFlickrやYouTubeもソーシャルグラフ、親密軸が必ず組み込まれるように。そこからバイラルマーケティングもできるように。友だちにリコメンドするとか。
–YouTubにアクセスしたら、勝手に知り合いのプレイリストがいきなりトップ画面に浮かび上がって。アカウントを持っている人のリストが勝手に出る。俺のもさらされているのかと慌てて。自分のは流れていなかったが。
–Facebookだったかに登録した時、普通にクリックしていくと、コンタクトに全部招待状を送るようになっていた。
林:そうすると、親密軸が薄まってよくない。
–能動的に、意識的にしないと。
林:ソーシャルメディアといわれているものは、親密軸の質が重要な気がする。親しい友人はいいが、時間がたつほど、ソーシャルグラフは広がる。親密軸が薄まる。それの解決は重要な問題。うまく解決できているところはまだあまりないかも。
–大手のSNSにしても拡張路線。いかに会員を集めるかに注力。
林:そういった意味で、Twitterのリスト機能は、一石投じるかも。1つパブリックに近い形の親密軸、それとは別にリストが作れる。
–リストをあまり使っていないが、思い出しながらけっこう作るのが大変。
林:UIの工夫で。思い出した時に出来るような。
–林さんのフォロワーは膨大でしょう。
林:でも、親しい人は対話するので、可視化される。
–やり取りが人をその都度、追加していく。
林:そう。まとめて3時間集中してやるというわけにはいかない。
–不可能ですね。ハンドル名も多いし。
林:日本のハンドル名文化は、親密軸を薄くする。
–実名、匿名論争もありますが、その別の側面。実面を出すことのメリット。
林:それでも、ハンドル名でも友だちになれるというのはそれだけ親しいということもあるのかもしれないが、広がりがなくて、親密軸はたぶんすごく難しいところで、少なすぎるとうちわでマンネリ化。広すぎると興味を失う。
ちょうどいいところに、均衡点があるような気がする。そういうサービスが出てきたら、キラーになるかも。
–知り合い同士は実名でコミュニケーション、外に対してハンドル名で見せるとか。
–制限というか、例えばミュージシャンの知り合いに招待された時。そこで渡されるパスというのは、何レベルかある。楽屋まで行ける、控え室まで行けるとか。レベルを5つくらいに。ビッグアーティストになると。そしてさらに裏ルートがあったり。それによって、終わった後に応対する、まとめてご挨拶か、もうちょっと少ない人数で握手できるのか、打ち上げにも参加できるのかと。
–個人の付き合いでされると、いやかも(笑)。
林:ビジネスだと、当たり前に。
–写真集を買って、握手会の次に。
林:企業だと、ACL。この契約の人は、ここまでアクセスできるけど、ここは書き込み禁止とか。ああいったものが、一般の友だちにも。いちいち設定するのだとやらない。そういった意味で、Twitterのリスト機能は一番シンプルな解決法。
–リスト機能も、やり取りの多い人は自動的に追加してくれると。
林:iTunesのスマートプレイリストのように。most recently 25人とか。
–これはきっともうどこかがやってますね。親密軸というのは、よく昔、SNSの流行始めの頃、対面であったことのない人もネットで増えて楽しい、というアピールがあった気がする。最近は、そういうのとも違う気がする。
林:やはり、自分の親密軸を非常に質の高い軸にしていくことが重要な気がして、少なくとも読む側としては。Twitterのフォローという仕組みは非常に良かった。SNSのmixiやGREEのお友達の承認、あれは精神的に負担。承認するしないの問題。
けっこう本質から外れた親密軸が増える。Twitterならとりあえずフォローして。外しても。
本当、一番理想なのはフォローの関係が、相手に連絡もいかないで、勝手にフォローできちゃう。塩とこしょうで味関係を調整するように、「最近ちょっと親密軸が濃いから、ちょっと薄めよう」とか、増やしたり減らしたり。しかもそれをTwitterのユーザーも、フォローをハズされてもあまり大事に捉えないのがいい。相手に見えないのがいい。
狙ってやっているのか知らないが、すばらしいのはたまにフォローしているはずなのに、外れていることがある。
–システムが不安定なだけでは?(笑)
林:狙っていないかもしれないが、あのまま不安定であってほしい。それくらいの方が、最近山路さんつぶやいていないと、気にする。親密軸が近い人なら。フォローが外れていて、し直すということも。
僕はあの不安定さが大好き。あれくらいのガス抜きがないと。これまでのIT記述は厳密すぎた。
水も漏らさないとどんどん窮屈になっていく。
2種類のバグがある。某モバイル用OSが不安定なのは許せない。でも、Googleのサービスは、質も低い部分というか、ベータ版に限った話かもしれないが、結果が全然違うことがあったり。それくらいの緩さは必要で、あまりにも情報が正確すぎると。日本の電車。ラジオ番組に出ていた時、DJがいつも言っていたが、日本だと電車が1分遅れて大げさなニュース。それはいいことなのかと。その通りで、だんだん余裕がない。1秒の遅刻もないと、余裕がないライフスタイルに。
絶対フォローが外れなくて、友だち承認システムになると、復習してやるとか。ガス抜きじゃないけど。Twitter、あれほんとダメでさあとか、それがあって、Twitterのせいにしてフォローを外れるなら、あれは狙ってないにしても今後は狙って続けてほしい。
–致命的ではないわけだし。昔、メールがよく消えることがあった。技術的にあり得た?
–あり得ます。今でも。
林:今の高校生のメール問題がまさにそう。メールは本来全然信頼できないシステム。今高校生が夜眠れないのは、友だちからメールが来たら、1分以内に返事しないと、あいつ調子に乗っているとか。
あれは本当によくない。
Twitterも絶対に守るべきカルチャーは、availableな時以外は返事しない。
そういったカルチャーを守っていかないと。リアルタイムだけど、返事できない時は返事しなくて良い。その理解。ネットの向こうにいる相手が常にはavailbleと限らないということをある程度、リテラシーが広がっていかないといけない気がする。
–サービスというより、使う側が身につけていかないといけない常識なんでしょうね。サービス提供側もそういうリテラシーを強化する方向は目指さないといけないのかも。意識して緩さを狙うのは、ヒントになりそう。
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