#11:これからは、1人の人がいくつもの仕事を持つようになる
林:あと、マイクロ化で話しことと言えば、3つ話題。1つは、オフショアでもマイクロ化するのがキーかなと。あと、オープンドック。もう一つはどういう姿勢でマイクロ化に臨むべきか。
オフショア化することで、開発コストのマイクロ化もできれば。分業体制という意味でのマイクロ化。ネット技術の進歩でそれが推し進められている。
oDeskというウェブのサービス。例えば、「3Dのプログラミングができる技術者募集、納期は**、拘束時間は**、料金***」という条件で募集。契約したら、仕様書を渡して組んでもらう。webカメラを使って働いているか監視できる。毎日ソースコードの閲覧ができる。
実際、僕の知り合いがmyGengoの前に発注したが、確かにいったスペック通りだが、質がイマイチ低いと言っていた。オフショアというか、インターネットを使ったオフショアの場合にはそういう危険性がある。
どうすべきかと言った時、そこからさらにマイクロ化すればいいのではないか。募集する時に必ずペアで募集する。全然関係のない2人を募集して、1個の仕様書で分業させる。ペアプログラミングをさせる。お互い監視し合って。
–XPのような。
林:3Dといっても得意分野は人によって違うだろうから、さらに細分化するというやり方もあるだろうが、発注先が1人だと全部トラブルを発注元が抱えないといけない。でも、発注先が複数で連携させることで、ある程度の問題の処理が向こうのコミュニケーションで処理できる可能性がある。
もしかしたら、片方がダメな時は、言葉は悪いが交換することも。
–基本的な疑問として、全体の仕様を見渡せる、全体設計図を描ける人。すべてをモジュールにして作っていけるものなんですか?
林:そこが、新しい分業の形ではないけど、何か必要でしょう。一個上のレイヤーの人は、より広い範囲を見渡して。今の世の中の分業体制もそうできているとは思うが、ちょっとした質の違いがある。今一番良いモノ作りをしている事例としてアップル。アップルは何の会社かというと、彼らはデザインの会社と考えている。アップル製品はdesigned by Apple in California。彼らがやっているのは、iPhone、iPodが7〜8割の普及率の時代にどういう携帯電話が求められるかをビジョンを描いてつくっているのが、アップルのトップの人の考え方。次のレイヤーの人は、たぶんできるだけ直結なのかな。
レイヤーはあまり多いといけない。増えるほど、意思疎通ができなくなる。
実際、アップルで製品担当になった人が、企画段階から加わっていれば、最後中国の工場でも監視して、商品棚にならんだところまで監督する。そういう役割の人が必要。レイヤーはあったとしても、1、2レイヤーだけど、アップルの場合は、要するに、アップルのいうデザインは意匠のデザインだけでなく、製品のコンセプトや製造工程、考えなければいけない部分を全部アップルの中でやると。カスタムチップのデザインもアップルで。
考える部分を全部アップルでやるが、頭を使わないというと悪いが、アップルでコントロールできない部分、フラッシュメモリなどの材料の調達や組み立ての部分は、外にまかせてしまう。
それこそ、サムスンと東芝を競わせて安く調達するようにするとか。そこで、どうすればマイクロ化になっているのかな。
–プログラムを発注するにしても、発注元はこういうものを明確にしている必要がある。
林:上のレイヤーに行くほど、マイクロだけでなく、スピードが違うモノがあるのかもしれない。実際、アップルのチーム、ジョブズのビジネスウィークのインタビューで、我々はどこの会社よりも議論していると。解決策はぱっと思いつくのは大した解決策ではない。議論をずっと続けていると。
それでいうと、さっきやったTwitterは、表層的でスピードが速いが、もしかしたら上に行くほど、深くて重厚なコミュニケーションをしていて、下ほどマイクロなコミュニケーションが正しいのかな。そこはわからないが。
–今の日本のシステムベンダーで出てくるのは、発注元が「こんな感じがほしい」といって、できたものを「そうじゃない」といって、デスマーチが発生する。それは、マイクロ化によって解決できるのかと。つまり、そういう場合、よりコミュニケーションのコストは上がる。外注にすることで。そういうものは解消できるのだろうかと。
林:やはり、マイクロ化といっても、それはチープで外側のガワというか、表層の部分をうまく動かして、表面の環境に合わせて、形を変えやすくするものであって、芯の部分は深く考えないといけない。
–今、ベンダーに投げている、何を作るべきかの、システムのデザインができる人は発注元が取り込んでいないと。それを外注しているからトラブルが起こっている。
林:まさにそうだと思います。携帯だとUIを丸投げしたり。アップルの場合、すべてのベースコンセプトはアップル社内でやっている。申し訳ないけど、製造や組み立てを頼んでいる会社のブレーンは無視している。頭脳労働をさせない。この通り作ってくれ、少しでも安くこれだけの数をまとめて用意しろと。発注先の会社で頭を使うのは、どう調達するか。
上のレイヤーに行くほど、マイクロでなくさらに深くないといけないのかも。
–全部マイクロにして発注にして済むかというとそうではなく、デザインを考えることに関しては取り込まないといけないのかも。
林:抽象論になるけど、芯の部分がちゃんとあって、周りの皮の部分の形は定まっていなくて、環境に合わせて、形を変えないといけない。海流がこうきているから、流線型になるとか、そういう活動なのかも。
–流線型になれと指示する必要はある?
林:軸足はいるでしょう。
–それがコアコンピタンスになるのかも。かなり抽象的な話ですが。
林:次の問題は、オープンドック。アップルコンフィデンシャルで書いたけど。あれもマイクロ化の面白い流れ。Componet100の仕事はヒントをくれそう。
オープンドックとは何か。今は、Excelなどのアプリケーションの固まり。オープンドックは機能単位に分解して、機能単位で売買を可能にしようという技術。90年代に、アップルやIBMが。画像フィルタの場合、4つ買ったらフルセットの画像処理ソフトになるとか。
component100は、機能を売っている会社を集めてコマーケーティングを可能にする。例えば、グラフ機能と、表機能だけの会社、ワープロ機能だけの会社、スペルチェック機能だけの会社を集めてオフィス対抗スイーツをいっしょに売っていこうとしたり。2、3人の企業はサポートを持てないのでシェアしようと。マイクロ化された時、例えば僕はフリーランスのものを書いて講演するという機能、それがカメラマンの機能と組んで、広報や秘書をやとってやるとか。
もっと有機的に機能単位でコラボするということが可能になるかも。最近シェアオフィスが増えてきた。九段下のコラボ。コラボという大きなパッケージの中にカメラマンのオフィスやweb制作。美術制作もあれば、そういったものがシェアオフィス。有機的に結合して建築系の会社も。広報が必要なら、そういう会社にいって。ダイナミックな動きが起きている。
シェアオフィスはコラボだけでない。マイクロな結合は出来ようとしている。今後はどんどん出来てくるかもしれない。
–不況の影響もあるかもしれないが、昔は会社でないと受けられない仕事が降ってきた。今は、もっと細かい。
林:発注元のマイクロ化。そうですね。そういったことが起きた方が、ビジネスとか仕事の方にもダイナミズムが生まれやすい。なぜシリコンバレーがイノベーションの潮流を作り続けているか。それは、人材が凄く流動的ということがある。
GoogleがのっているとみんなGoogleへ、今度はFacebookへ。日本だと会社を変わるのは悪いことと思われているかもしれないが。
シリコンバレーだと、そういった人材の流動でも企業の競争、人材そのもの競争も起こっている。ダーウィニズム的な進化の競争が常に起きている。
人と人のダイナミックな結びつきの価値をよくわかっている。
Googleの社内でも、あるいはGoogleという入れ物の中で人間が流動的に動いている。Googleが面白いのは、そういう分子、人が動いて接点になりやすい場所に話し合う場所を用意している。カフェテリアに行くと、プロジェクタが置いてあって話が出来るようになっていたり。マイクロキッチンのすぐ手前に、シアターがあって話せたり。20%ルールの内容を話し合ったり。飲み物を取りに行こうとして、面白そうな話を聞いたら、関わる。社内にあるMOMAというイントラ。20%ルールをやるためには、エネルギー分野に詳しい人がいるから検索したり。人材の結合を起きやすくしているのがgoogleの強みじゃないかと思うし。
やっぱり、会社は一人一人を面接して、良い人間を取るのにお金を掛けている。ワークグループになるとそれが強みになることもあるが、発揮できないこともある。必ずしも固まりで見ないで、分子単位で見ることも重要。
–一丸で動いた方がいい仕事も。
–自発的に結合して、emergingなものができて動き出す。
林:それが一番モティベーションも出やすいし、やりたいようにできる。
そういった話が、オープンドック。
あと、結局、こうした商取引もマイクロ化した時にどういうふうに望んでいくべきか。ここはマイクロワークとマイクロコンテンツをつなぐところ。
やはり無理しないこと。自分が一番モティベーションが高くて、うまくできるところで徹底的にがんばってやるのがマイクロワーク時代の。
–自分の強みは何か。
林:自分が一番モティベーションを感じて、洗練できるところまで続くところに全力を投じるのは意味がある。けれど、得意でないけど、これもくっつけないといけないよなというのはオープンソースやネットで見つけたパートナーと組む。
–良い意味での専門バカ。人とつながれる専門バカ。専門バカというとネガティブな意味合いが強いが。
林:視点が多様にあって、自分の軸。磁力は持っているが、だけどこれはどう考えても得意分野でないことは人に任せられる専門バカ。
それが一番動く機能したのが、うまくいくオープンソース。それ以外をがんばっても。みんなのベクトルがあって進んでいけば、良いものが、きめの細かい良いものがつくれそうな気がするじゃないですか。
–それを見つけるのは非常に難しいことでは。サラリーマンであれ、フリーランスにせよ。小飼弾さんは3日メソッドをすすめていた。
林:それでいうと、マイクロ分析ツールがあるといいかも。Twitterのつぶやきを分析して、あなたの得意分野はこれですとか。
–「ソース」という自分の性格分析。得意なところにリソースを投入しようと。スキルに関しても。
林:それも最初に言ったマイクロワークの時代になったら、経験的に見えてくるかも。
–反響のいいマイクロワークをどんどんやって。
林:場合によっては、自分のモティベーションが上がっているモノと得意分野は必ずしも一致しない。反響をいいものを取るのか、好きなものを取るのか。人それぞれの選択であって。
そういう意味で言うと、マイクロワーク化することで、人生の選択肢が増えて幸福度は増すのではないか。経済的に成り立てばですが。
–何か一つを選ばなくても良い。
林:だって、終身雇用で頑張って、退職の日に向いてなかったことに気付いたら、ショック。
時分割で、次々と仕事を変えていくということもあるかもしれないし。
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