#3:消費者は自分が欲しいものを知らない

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–ちょっと話がずれるかもしれませんが、空間軸に行く前に、ブログとか30分かかるのも自分の中では古くなる。ある意味、多くの人にとってはTwitterでつぶやく方がラク。アウトプットの形態も、Twitterで大きく変わった。じっくり考えて書くと言うことを、みんながしなくなる、そういうトレンドになる? 一人がじっくり考えるのではなく、つぶやきをもとにみんなで考えるようになってきている?

林:年齢層とかによっても違う。じっくり考える人も。両方あると思う。あまり、Twitter的な短時間でやるというのばかり広がると、そのうち揺り戻しがあるでしょう。
たぶん、それって、テレビを見る人も本を読む人もいる。ほとんどは両方。それと同じだと思うんです。
そのバランスのポイントがだんだん変わってくる。昔は、TVばかりだった人が、本を読むことも増えたり。年齢や気分によっても変わる。そこらへんで、うまく均衡が取れる気がする。そればかり、テンポの速いモノばかりになると、そうでないというのは絶対。それをうまくバランスが取れる気がする。

–Twitterができたことで、リアルタイムコミュニケーションの可能性が。

林:Twitterは徹底的なマイクロ化ができたので、これまでがあまりにも、特に日本では影響が大きい気がする。というのは、日本の会社組織は、あとでも話が出ると思うが、あまりにもじっくり型になりすぎている。椅子を温めすぎる文化。議論して議論して、石橋を叩いて渡らないカルチャーになっている。
それより、こまめにいっぱい動いて、その都度軌道修正していった方が新しい方法を見つけやすいにもかかわらず、議論しすぎて動けなくなっちゃう。手遅れになる。

–しかもその時点の結論は意味がないものに。

林:日本は、Twitter的なコミュニケーションは意味があるのではないかという気がする。

–それは実感ですね。2001年以降といっていいかわからないが、世界の変化が。予測がどんどん難しくなっている。技術の進歩やコミュニケーションの変化もあるのかもしれないが、何が起こるかはもはや予測できない。結局やってみて、どう対応するかを。考えて動くロボットではなく、単純な脳を持ったロボットでないと生き残れない。

林:一時期、複雑系が話題に。僕は途中で挫折して、読むのを止めたが(笑)、どう接していくかの答えは、問題を投げかけて、どういう答えが出るかを見るしかない。

–昔から「とりあえずやってみろ」といいますが、その通り。

林:そうそう。

–それ以外の解がなくなってきている。

林:あとの内容になるけど、群衆の叡智。人間、会議室にいて、数人で考え出せる智恵なんてたかが知れている。今の時代、消費者の方がネットにつながって、Wikipedia調べながら、価格.comで比べながら買い物。消費者の方が賢い。下手に自分たちの考えを商品を込めるよりは、思い込みをなくしたモノ作りをしたほうがただしいと思う。シンプルな形でものを投げて、その代わり、一番シンプルで自分たちの得意なところは最大限の洗練。とりあえず、どういう人がそれを喜ぶのか。観察して、そこを伸ばせば、膨らんでいく。

–消費者のアイデアは参考になる? スティーブ・ジョブズが消費者の意見を聞いたわけではないでしょう?

林:フォーカスグループとかやって、インタビューしても意味はないと思う。ル程度の顧客に触ってもらう必要はあるが。インタビューしてはダメ。観察する。

–消費者は自分のほしいものを知らないからこそ、行動を観察して引き出す。

林:そうそう。試供品を渡して、感想を聞くのは意味がない。自分がサンプルになったとしても、昼飯もおごってもらったからいいといわないといけない気になる。それにも関わらず、米国企業もフォーカスグループでやっているところがあって残念。
そうではなく、使っているところをできる限り干渉しない形で、観察する。例えば、どのページが一番読まれているか。どこに一番手垢がついているか。そこにこそ意味がある。あるいは、視線の計測して。
無意識も含めた、ユーザーの行動にこそ、きっと価値がある。

–野口晴哉『人間の探求』の最初に、人間は本当のことは言わない、本当も嘘もいえない。言葉で表せない、無意識に求めているもの。

林:きっと反応はしている。しかも、反応は、考えて反応している部分と、無意識で反応。あと、物理的にそうとしかなりえない部分もある。
人間は、高度な生物だとか、どうしても、意志があるので思いがち。でも、単純な物理法則、生物学的な法則に支配されている部分もある。製品を使ってもこうしか反応し得ないという、制約が実はある。
そういったものは、たぶんインタビューしても見えない部分。観察によってこそ導き出せる。例えば、人差し指がこの角度以上に曲がらないから、ここは指せないとか。

–角にあると押しやすいとか、ボタンの形も大いにありそう。

林:そこらへんも、米国の優秀な企業は、生理学的な反応も含めて、かなりノウハウとして持ち始めている気がする。Googleの人と話をすると、UIのレスポンスタイム、コンマ何秒遅れると、いらつくとか。ちゃんと持っている。
そこをベースとしてもって発想するかどうかでスタート地点が変わってくる。

–動物行動学者のよう。

林:Googleもアップルも、どれだけのいろんな違った視点を持っているか。群衆の叡智ではないが、みんなの意見は案外正しいとか、重要なのは多様性。どれだけいろんな知見を盛り込めるかは非常に重要。アップル、ジョブズのいなかった90年代、ドン・ノーマンにインタビューしても、アップルのモノ作りが違うのは、最初から企画のチームに広報もいれば、マーケティング、文化人類学者、心理学者、いろんな知見が入っていた。そういっていた。
それが、日本のモノ作りは、経営者とエンジニアで議論をやって、これがウケルのではとノリで決めて、かっこいいデザインをやってと渡して、かっこいいのができたから、マーケティングも上手にやってと。それだと、表層的な、後付けのどうしようもないものしかできない。社員も、ものの本質がわかっていないから、表層的なマーケティングしかできない。悪いスパイラル。

–群衆の叡智という言葉は深い意味があると改めて。群衆自体が考えを述べようと言うより、個々の人の行動も含めて、智恵ということなんですね。単純に会議で発言するとか、アンケートに答えるというだけでなく。

林:先週、大分の方でハイパーフォーラムでパネルディスカッション。公文俊平先生が話し。まるでTwitterは、人類の頭脳のようになってきたと。
まさにそういうものかもしれなくて、Twitterというブラックボックスにものを投げ込むと、その反応の総和みたいなものがきっと答えということが多い気がする。

–Ustreamの生中継をしてもらった。反応をTwitterでリアルタイムにもらって。こちらが思いつかない質問を視聴者が投げかけて、それに返すと、また反応して。今までは、文化人が上から話すのを一方的に受け取る。そうではなく、みんなが考える。タネを最初にインタビューを受ける人が投入する役割。

–新聞の社説のようなスタイルも、時代を超えて。

–one of themに過ぎなくなるのでは。相対的な価値は下がるかも。

林:Google Newsが変えるかも。なぜあのサービスが作られたか。新聞が信じられなくなってきたと、開発者がいっていた。それで、いろんな新聞を1つのトピックを中心に、いろんな新聞の記事を集め、比べ読みできるようにしたのが、Google News。1つの戦争のニュースも、CNNはこう、ワシントンポストはこう、と比較して読めるのが目指したところ。多様性の意見を、読む側のリテラシーが上がって、どこかの新聞がいっていることが本当ではなく、新聞の向こうにいるのも一人の人間に過ぎない。いろんな意見を読んで初めて、総合的な判断ができる。リテラシーが付いてくれば、Google Newsが最強のメディアになるかも。

–岡田外相が外務省の記者会見を開放した。それについて報じたのは、毎日と産経だったか。それ以外は黙殺。その日の新聞サイトをチェックしたが、三大紙は確か取り上げていなかった。あとで、中面で取り上げていたコラムは見たが。

–社内でいかがなものかという言われていたり。表に出すと、ネットに出すと叩かれるから、とりあえず黙っていようと(笑)。

林:日本は誰でも責任を取りたがらないから。

–情報を出さないことによる、権威付けは悪質。

–戦争の時みたいな。新聞は何でもやりますと。今さらながら。

林:逆に、ネットのカルチャーはそうではなく、例えば自分のライバルの媒体があっても、ライバルのニュースに関してもリンクを張った方が、逆に優位に立てる。こちらのサイトを見れば、ライバルの情報もわかるということになる。
リンクできるかどうか、メディアの大きな違い。

–新聞のことに関して言うと、収益モデルにも関わるから、単純に今の形でリンクを張るだけでいくかは、複雑な問題があるかも。

–昔は、新聞は数紙を併読しろと言われたもの。ちゃんとした大人は3紙取るものだと言われた。そういうのが、通用しなくなって、新聞を読まないところにGoogle Newsだから、まさに大変なこと。踏んだり蹴ったり。


※このエントリのポッドキャストは、Castplantからお聞きいただけます。

1 Comment

blog.cdbk.net12月 2nd, 2009 at 02:25

[...] 昔は、新聞は数紙を併読しろと言われたもの。 firstdecade.netより [...]

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